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「――…まっ、待って!」
「…ほぇ?」
声にならなかった息が
言葉と一緒に出た。
「愛姫、向こう向いて!」
あたしは、取り敢えず
言われたとおりに
向こうをむいた。
「俺、10秒目をつぶって
数えるから、
NOだったら動かないで。
YESだったら…
――…振り向いて?」
「わ、わかった」
そんなことしなくても
答えは1つしかないのに。
ちょっとおかしくなって
あたしはフッと笑った。
「いくよー、いーち…」
吉岡くんが数え始めると
同時に、あたしも目をつぶった。
今まで、吉岡くんと過ごした
日々が走馬灯のように頭の中で
交錯する。
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