花屋の住人

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「七歳!?」  じゃあ、セスと別れてから少なくともこっちでは七年も経ってるのか。  思わぬ時間の経過に驚くが、ナチの外見からして妥当な年数だろう。 「七年か」  俺からしてみれば一年しか経っていないのを考えると、こちらとあちらでは時間の経過が随分と違うようだ。  でも、戻った時に時間のロスなんてなかったよな?そんじゃ、その辺は向こうも配慮したってことか。 「ナチが七歳なのと、お兄ちゃんが魔法使いなのは関係があるの?」 「別に関係ねぇよ。つーか、俺、魔法使いじゃねぇし」  俺はただの学生であって、断じてナチの想像しているような魔法使いなんかではない。  そもそも魔法使いなんて職業聞いたこともないし、存在しないだろ。 「えー、絶対そうだと思ったのに。だって、お兄ちゃん、パパ様にそっくりなんだもの」 「ちょっと待て。お前の言う魔法使いってのは、セスに似てんのか?」 「えっと、パパ様はそう言ってたよ。それと、パパ様とは違って炎が出せるんだって。ナチは逢ったことないから分かんないけど」  魔法使いは、ユノセスに瓜二つの容姿で自由自在に炎を操るらしい。
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