花屋の住人

12/13
前へ
/109ページ
次へ
 いつだったか、俺達二人に不思議な力があると知ったのは。  ユノセスが氷で、俺が炎。  物心付いた頃には自分達が異質なのだと自然と認識し、表立って力を使うことはなくなった。  だが、あくまで表立って使わなくなったと言うだけの話であって、ユノセスと二人、隠れて力を使っていた。  お陰で力のコントロールには困らなかったけどな。 「セスは?」 「パパ様?」 「セスはどんな魔法が使えるんだ?なにも魔法使いが一人って訳じゃないんだろ?」  魔法使いなんてもんが俺だとは思いたくないが、一応確認しとくか。  特徴からして魔法使い第一候補であることはこの際無視して、ユノセスのことを尋ねた。 「パパ様はね、氷を出せるの。それと、魔法使いは世界に二人だけなんだって。パパ様と十年前に消えた魔法使いの二人だけ」 「マジかよ……」 「ねぇ、やっぱりお兄ちゃんが魔法使いなんでしょ?」  その問いに、今度こそ俺はこう答えるしかなかった。 「……そうらしいな」
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加