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しかし、左肩へと振り下ろされた剣は、俺を傷つける前に蒼い炎に阻まれて届くことはなかった。
「熱!」
「あー、そう言えば障壁張ってあるんだった」
こちらにいる時に自衛のために造り出した炎の障壁は、俺の意思に関係なく常時発動して、あらゆる悪意ある攻撃から俺を守る鉄壁の防御だ。
ここ一年、突然襲撃を受けるようなこともなかったし、平和だったから忘れてた。
「えっと、チビ……じゃない、シェナ、大丈夫か?」
「俺の、俺の剣がぁぁぁ!」
先程と似たような悲痛な叫び声を上げたのは、シェナと呼ばれたチビで童顔男である。
呆然と目を見開いて剣の先端を見詰めるシェナの視線を追えば、炎に触れた剣は溶けており、もう使い物にはならないだろう。
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