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謝罪の言葉が口を付いて出そうになるが、先に斬りかかって来たのは向こうだ。
剣が使い物にならなくなったのは、自業自得であって俺のせいではない。
障壁のことを忘れていたと言う点において罪悪感が全くない訳ではなかったが、あのまま攻撃されていたら軽い怪我では済まなかっただろう。
「今のは──」
長身の男は眼鏡の奥の瞳を驚愕に染めると、その場に跪(ひざまづ)いて騎士の礼をとった。
「数々のご無礼をお許し下さい。私は王女の第一騎士、ネル・ガイシュナーと申します。先程の炎……あなた様を炎の魔法使い、ウォルティア様とお見受け致します」
「へぇ、あんた、俺のこと知ってんだ」
「炎を操ることが出来るのは、陛下の兄君であるウォルティア・スノイル殿下のみ。それに、私は嘗て殿下の炎を、遠巻きながら拝見させて頂いたことがありますので」
ネルと名乗った男に続いて、同じように残りの二人も跪いた。
「王女の第二騎士、アッサム・ワーズです」
「……第三騎士、シェナ・ニクスコナー」
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