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突然始まった自己紹介に参加すべきか迷ったが、俺は既にネルによって名乗りを上げたも同然で、態々二度も名乗る必要はないだろう。
「ん?ワーズ?」
聞き覚えのある名前に、一人の男の顔が浮かんだ。
「もしかして、アッサムってシグ……シグナムの兄弟?」
「シグナムは兄です」
「あ、やっぱり」
「兄をご存知なんですか?」
「あー、うん、まあな」
言葉を濁せば、アッサムは妙に納得したように頷いた。
「そうですか。まさか、友人なんてことは……」
「ない。ありえないから」
きっぱりと否定すれば、アッサムは残念そうな顔をする。
何を期待していたのか分かりたくもなかったが、アッサムの態度から容易にそれは想像出来てしまい、しかし俺にはそれに応える気は全くなかった。
あいつと友人とか、ただの変態じゃねぇか。
シグナムに数回逢っただけの俺がそう思うのだから、普段から顔を付き合わせているアッサムが思わないはずがない。
「兄は陛下の御友人の一人ですし、もしかしたらと思ったのですが」
「はあ?セスの友人って、あの変態が?」
「変た……えっと、はい」
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