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扉が開き、ユノセス達の姿を視認するよりも先に、空気の抜けるような奇妙な音が俺達を出迎えた。
「ぶふぁ!」
「………」
「わっか!うわ、ティア、若っ!ねぇ、ちょっと見てよ、ノーラ!若い頃の僕がいる!……ん?てことは、僕の方がティアより年上?え!?どうしよう!僕、弟なのにお兄さん!?」
息継ぎせずに一気にそこまで喋ったユノセスは、思い当たった事実に頭を抱えた。
相変わらずだな、セスの奴。
別れた頃より背が伸びて顔付きも大人びたユノセスに中身も成長したかと思ったが、何一つ変わっていない性格に、何処かほっとする自分がいた。
打ち拉(ひし)がれるユノセスから視線を反らし、もう一人の全く変わっていない姿を目に留め、笑みを形作った口許が引き攣る。
「久し振りだな、ノーラ」
「ティアも元気そうで何よりだわ。あの頃と全く変わってないから驚いちゃった」
「そりゃ俺の台詞だ。聞いたら、こっちじゃ十年も経ってんだってな」
「うふふ、ティアは十年も経っていないみたいよ」
「経ってねぇからな」
「あら、そうなの?」
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