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「お前……ナチって言ったか、本当にセスの子供なのか?なら、母親は?」
「ママ様?ナチのママ様はリズノーラ」
「──ロズムティア・ダリス・リズノーラ・テノムス」
「凄い!お兄ちゃん、ママ様の名前を全部言えるのね!ナチは長くて覚えられないの。……あれ?ママ様の名前を知ってるなら、お兄ちゃんはママ様の知り合い?だから、パパ様も知ってるの?」
「俺は……」
夢でも見ているのだろうか。
どうやら母親も俺の知っている人物で間違いはなく、ユノセスの恋人であったリズノーラらしい。
言われてみれば、リズノーラも金髪に紫紺の瞳だったと忘れかけていた記憶を引っ張り出す。
ナチの髪と瞳はノーラ譲りか。
母親が誰か知り、ナチがユノセスの子供だと確信出来たまではよかったが、これは夢と言う線が濃厚になってきた。
じゃなきゃ俺の願望から出来た幻ってとこか。
夢か幻でも可愛らしい姪を造り出した自分の願望を誉めてやりたい。
それにしても、どうせ夢か幻ならユノセスにも逢いたいものだ。
そこまで考えたところで、ぐらりと建物が大きく揺れた。
思わず壁に手を付けば、鋭い痛みが掌に走る。
「痛っ」
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