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え?
言葉を遮るように言い放たれたその一言は、少年の思考を麻痺させるのには申し分無かった。
彼女の口から発せられたのは、はっきりとした日本語。
ホームルーム前に話した可憐で、気品漂う美人なクラスメイトの姿はなく、そこにいたのは八重歯をむき出しにしながら鋭い眼付きでこちらを睨みつける一人の女性がいた。
「あなた魔法も使えないのに、ここに入れたんだってね?どうせ裏口入学とかなんでしょ?この学校にもがっかりだわ。魔法すら使えない人間と共に過ごすなんて」
に、二重人格!?
空いた口がふさがらないとはこの事だった。
俺はなんの反論もできず、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
荷物をまとめた彼女は歩き出し、堂々たる姿勢歩いていたが、飛び出ていた椅子の足にぶつかり転んだ。とてつもなく大きな音を立て大胆に。
あまりにもすごいこけ方をしたので思わず声をかけた。
「お、おい!大丈夫か!?」
「うっさい、ばか!話しかけないでって言ったでしょ!」
彼女の頬は紅く染まっており、目にはうっすらと涙も浮かんでいた。
痛かったのか?いや、様子を見る限り恥ずかしそうだ…。
そりゃぁ…あんな大胆に転んだら痛みなんて忘れて、穴に入りたくなるわ。
さっと立ち上がり何事もなかったかのように歩き出す彼女。
そして、教室から出る直前にこう言い放った。
「Stupid fellow…(馬鹿・・・)」
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