白い服を赤く染めて

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美子が殺害されてから約一年後。 雄蔵は完成した校舎を、土手から眺めていた。 自らが現場監督として指揮を取り、造り上げた作品を。 「一時はどうなるかと思ったが……泰蔵を処分出来て良かったぜ。ま、小野山の娘には悪い事をしたがな」 日頃から手が掛かる兄の面倒を見ていたが、凶行を止められなかったと涙ながらに訴えた事で、雄蔵は世論を味方に付けていた。 そんな雄蔵を疑う者は、誰もいなかったのである。 「さて、この現場ともおさらばだな。二度と来る事はねぇ」 フンッと鼻で笑い、家に帰ろうと校舎に背を向けた時だった。 「あ~かい ふ~くを くださいな~」 背後から、奇妙な歌声が聞こえて来たのだ。 この土手には他に誰もいなかったはずなのに、誰の声だ? 不思議に思いながら振り返った雄蔵。 「!?お、お前は……」 そこで、雄蔵はいるはずのない者を見てしまったのだ。 赤く染まった服を着てぬいぐるみを持つ、髪の長い少女の姿を。 それは、一年前に自らが強姦して殺害した少女、小野山美子である事は一目で分かった。
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