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その日、双子の姉妹である美紀と美子は、自分の部屋で母親が帰って来るのを待っていた。
窓から見える、新しく建造している学校が、夕日に照らされて不思議な雰囲気を醸し出していたが、美子はその景色が好きだった。
いつも姉の美紀と一緒で、美紀と同じ物を欲しがり、同じ物が好きなどこにでもいる小学生。
「お母さん、まだ帰って来ないのかな。プレゼントって何だろう」
昨日から、美紀と二人で楽しみにしていただけに、いつ帰って来てもおかしくないこの時間には、興奮は最高潮に達していたのだ。
部屋の中を落ち着きなくうろついたり、意味もなくベッドに横になってみたり。
それでも治まらない興奮を、美子はどこに向けて良いのか分からなくなっていた。
「美紀ちゃーん、美子ちゃーん、ただいまー」
廊下の方から聞こえたその声に、美子の胸は高鳴った。
それは美紀も同じなのだろう。
隣の部屋から聞こえた、何かから下りたような足音に、美子は先に越されないようにと急いでドアへと駆け出した。
プレゼントって何だろう?
新しい靴かな?それともお人形さんかな?
高まる期待に胸を膨らませて、一階で待っているであろう母親の元に急いだ。
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