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科学。
一言に科学といってもその意味は大変深く、また膨大な知識と知恵が必要な学問であることは誰もが知るところである。
そしてその力が使い道により人々の快適な日常を形作るものにもなり、大量殺戮兵器ともなりうる諸刃の剣である。
西暦2059年。その科学の力による悪夢のような事件が起こった。
当時日本のエネルギー生産は原子力発電に大きく依存していた為、2020年以降原子力発電所は増える一方だった。
そして2059年、それは起こった。日本に侵入してきたテロリストが全国の原子力発電所を占拠し日本政府に対して100兆円を要求、しかし日本政府はこれに対し強行手段をとり全国の発電所に突入。
これにより関東、中部、四国、関西、東北、沖縄の発電所を奪還、北海道、九州の奪還も時間の問題かと思われた。しかしテロリストは両地方の発電所全てを爆破、それにより致死量を数兆倍上回る放射線が両地方を覆い尽くした。
国民の避難は進められていたものの間に合わず大半が被爆、これによる死者はおびただしいものとなった。もちろん両地方は立ち入り禁止、日本の領土から消えてしまった。
しかし奇妙なこともあった。極少数(とは言っても2万人ほど)ではあるが致死量の放射線を浴びたはずの10代~20代の人達の中には体内からまったく放射線反応がなかった。
そればかりではなく、その身体にはある異変が起こった。
検査の為に器具に触れた瞬間、器具がいきなりショートしてしまったのだ。詳しく調べた結果、身体の筋肉細胞一つ一つが発電器官へと変異していた。また、個人差はあるものの自らの意思である程度の電気を発生させることができることもわかった。
日本政府はこの人達を「適合者」と位置づけ国家を挙げて研究を進めることで確率としては高くないものの親から子へと,この発電能力(通称「SEM」)は遺伝することがわかった。
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