18人が本棚に入れています
本棚に追加
もしも 明日
この世が滅びると知らなかったら
いつもの歩道や 向かいの洒落た家も
道行く人も 野良犬も
こんなに愛しく思わなかったろう
ああ 月が二つに欠けていくよ
もしも 今
世界が終わる時を知らずにいたら
あなたに思いを馳せなかったろう
日々 いくつもの自分に埋もれ
そこから這い出すのに精一杯で
内にある 本当の気持ちには
一生気付かなかったかもしれない
ああ 月が二つに欠けていくよ
46億年の命と共に
果てる尊さに身震いして
跡形なく消え去るであろう この愛しい星の記憶を
知るものはいなくなる
全ての時間の終わりが迫る
全てのものは 初めて平等となり
共にその身を寄せ合う
鳥達は 変わらず朝の歌を鳴く
誰ともなく広がる 鎮めの歌
生命はやがてひとつの塊になり
壮大な儀式を ただ待ち受けている
ああ 月が二つに欠けていくよ
.
最初のコメントを投稿しよう!