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しばらく、静寂が続いた。
ふいに土方さんが私の体を離し、じっと顔を覗き込まれる。
「言おうかどうか、迷ったんだがな……」
そう言う彼の瞳には、寂しさとか、やりきれなさとか、戸惑いとか、そういった様々な感情が入り交じっていて。
私は、ただ静かに次の言葉を待った。
「お梅さんは、自刃したんだ。芹沢さんがいないと、生きられないって」
……嘘、でしょ?
そんな……。
「恨まないでやってくれ。それほど、芹沢さんを想ってたんだ」
宥めるように言われて、ただただ頷く。
しばらくそうしてやっと落ち着くと、私は送るという土方さんの申し出を断って一人部屋に戻った。
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