紫苑

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side 土方 敵わないな、本当に。 真幌にも……芹沢さんにも。 俺たちが普段から芹沢さんを止められていれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。 それなのに真幌は、仕方のないことだったって。 笑ったんだ、あんなに辛そうに。 責められたって文句も言えないのに、無理にでも笑顔を見せてくれた。 ったく、どこまでお人好しなんだよ……。 「土方さん、入るよ」 そのとき、部屋の外から総司の声がした。 あいつは俺の返事を聞く間もなくずかずかと入ってくる。 「勝手に入るなって言ってんだろ」 俺がいつものように文句を言うと、総司はへらっと笑った。 ……無理しやがって。
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