そこに君がいるなら

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そこに君がいるなら

枯れ木並ぶ並木道 足元を敷く無数の朽葉 僕は独りで歩を進める 信じるものも持たないまま 冷たい風が吹き抜ける "信じた数だけ裏切られる" そんな後ろ向きな感情が 僕をそこへと誘(いざな)った そっと目を閉じて 風に身を委ね 前へ進み始めたら また君に会える そんな気がした 込み合う人混みと車道にて 真横を過る黒い車 そこで僕は歩みを止めて 静かに遠くに目を向けた 込み上げる懐かしい感情 "好きになった数だけ傷ついた" そんな過去を振り返りながら 僕はそこに手を置いた そっと目を閉じて 風を感じて 下を見下ろしてみたら そこに君がいる そんな気がした そこに君がいるなら 僕はそこへ行きたい でも君はそれを許さない だから僕は歩を止める 今は前を… 現実を見つめるしかないんだって そう君が教えてくれたから そっと目を閉じて 君を感じる そこにいないかもしれない でもここにいる そう信じたい そっと目を開いて 僕はもう一度 最後にもう一度だけ 信じてみたい もう独りじゃないって
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