最後にせめて一言だけ

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最後にせめて一言だけ

携帯に残った 保護つき受信フォルダ そこに綴られた 君からのメールは 勇気や自信とか 励ましの数々 わざとらしくない 真っ直ぐな優しさが いつの頃からか物凄く 好きだったみたい 最後のメールの 日付は何年も前で 最後には"さよなら" でも それに対する返信はまだ 僕からは送ってないから 今からでも間に合うかな "ごめんな"って 最後にせめて一言だけ 謝ることが出来たら 僕もやっと前に進めるかな 君と同じ景色が見えるかな 今は… まだ足踏みしてるだけだから 最後にせめて一言だけ 伝えることが出来たら "ごめんな…ごめんな…" 僕はまだ躊躇ってるみたい ほんの些細な 口喧嘩がきっかけ 今にして思えば 全部僕が悪かった あの日の僕はまだ どうしようもないガキで 君の優しさに甘えてたばかりに 今でも拭いきれない リグレット 送信画面に 謝罪コメントを添えて 後はキーを押すだけ なのに 何故かそれを躊躇い 何もせずに閉じる そんなことを繰り返す 情けない… 何度も君の笑顔が まぶたの裏をよぎるから 振り返ったらそこに過去の 自分の姿が見えた気がした こんな… 僕を君は笑うだろうか 今また君の優しい声が 聞こえた気がした 待って…今は… まだ決心が足りないみたい 最後にせめて一言だけ 伝えることが出来たら 本当は何より伝えたかった 真っ先に言いたかったこと 君に… "今まで本当にありがとう" くだらない意地もプライドも 全部全部捨て去って "ごめんな…ごめんな…" ありがとう…そして、さよなら
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