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オオカミと赤ずきん
目を閉じればほんの微かに
聞こえる
君の声が僕に助けを
呼んでる
だけど僕は聞こえないフリ
君が僕を呼ぶ声は
僕の大きな耳には届かない
例えるなら僕はオオカミ
君は赤いずきんをかぶった少女
けっして結ばれる事のない
オオカミと赤いずきんの少女
君は無邪気に明るい顔で
微笑む
それでも僕はこっそり隠れ
目を逸らす
君は淋しそうにこちらを見るが
僕は逃げるように立ち去る
全てを諦めたかのように
例えるなら僕はオオカミ
鋭い爪と牙が君を襲うかも
僕はそれだけが恐くて
ただ君を傷つけたくなくて
何度も願った
何度も悔やんだ
どうして僕が
どうして君が
オオカミなんだ
赤ずきんなんだ
僕はオオカミ、君は少女
僕は優しくなんてないから
君を傷つけてしまうかも
だから僕は君を見守るだけ
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