Prologue

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  炎天下、真夏の猛暑。強い日差しに照らされる中、グラウンドは緊迫した空気に包まれていた。 7回表、天翔学園高校野球部はピンチを迎えている。 スコアボードに0が行進する試合展開。スタンドからは声援が飛び交い、祈る姿も見られる。 「ムトケン! てめえ打たれんじゃねえぞ!」 マウンドの上で汗を拭う男はこちらを一瞥し、セットポジションに入る。 ツーアウト2、3塁のピンチ。左のバッターボックスに入った相手バッターは、今春のセンバツに出場した修央高校の四番倉科。高校通算63本塁打の記録を持つプロ注目のスラッガーだ。 投球モーションに入ったムトケンの右手から放たれたボールは、キャッチャーミットに収まり、BSOのSのランプを一つ点灯させる。 「うおっ! 今の球、148キロッスよ」 隣でラジオを聴いている一真が、額から汗を垂らしながら驚嘆の表情を見せる。 「148~? あいつの力は、まだまだこんなもんじゃねえよ!」
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