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ムトケンの最高球速が150キロを悠に超えることを知っていた俺は、まるで自分のことのように一真にそれを自慢する。
キャッチャーからの返球を受け取ったムトケンはキャッチャーとサインを交換し、セットポジションに入る。二度首を振った後、投じたのは134キロの変化球。
倉科のバットはボールを捉え、快音を響かせる。
ぐんぐん伸びていくボールはライトスタンド横のファールグラウンドに落ち、周りからはため息が漏れる。
「今のは危なかったな」
そう言って苦笑いを浮かべる男は、普段冷静で知られる青池。確かに、今のはかなり際どい一球だった。
「ビビってねえで、自慢の真っ直ぐぶつけてやれえ!」
俺の声援に「ぶつけちゃダメッスよ」と、茶々を入れる一真の頭を叩き、BSOを確認する。SとOの黄色と赤色のランプが二つ点灯している。あと一つのストライクで、この回を凌げる。
カウントはピッチャー有利。3球目、4球目を見せ球にし、迎えた5球目。
ムトケンから放たれたボールは倉科のバットを避け、気持ちの良い音と共にキャッチャーミットに収まった。
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