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唇が離れると、政臣は指輪がはまった僕の手を握り締めた。
「春野」
「はい」
「俺たちは結婚できるわけじゃない。だけど、ふたりで誓うことは出来る……2年前、この指輪を渡したとき、俺が言ったこと覚えてる?」
―――いつか、一緒に暮らそうってなったとき、俺が春野にプロポーズするから……その指輪は、そのとき、はめてあげる。
覚えてる。覚えてるよ。忘れるわけなんてないじゃん。早くその日がくればいいと思ってた。早く指輪をはめて欲しかった。自分でも女々しいと思うけど、この日が来るのをずっと夢見ていた。
「お前と離れるのなんてムリだって思ってたけど、やっぱり側にいてくれなきゃダメだった。頑張らなきゃって何度も思ったけど、やっぱり頑張れなかった。どんなに好きでもやっぱり隣にいてくれないとダメなんだ」
それは、僕も一緒だった。好きだけど、好きだからこそ、やっぱり近くにいて欲しいし、離れたくない。
もう、離れたくない。
「いつも触れられて、いつも見える距離にいてほしい。だから、これからは、俺と、ずっと一緒にいてください」
「政……臣っ……」
「返事は?」
嬉しすぎて、涙が止まらなくて、どうにも喋れないから僕はただ何度もコクコクと頷いた。
「本っ当すぐ泣くところは全然変わってねーのな……」
「政臣、だって……っ!」
「うるせー」
見上げてみれば、政臣の目からも涙が溢れ頬を伝って流れ落ちていた。
2年前と何も変わっていない僕たち。
泣き虫で、寂しがりやで、ちょっぴり不器用。
だけど、きっとこれから変わってく。
だって、これからはずっと一緒だから。
「伊織、好きだよ」
花園で出会った王子と姫は恋をして、今、晴れて、本当の王子と姫になりました。
これからが、本当のスタートなんだよね。
これからも、ずっと一緒にいてください。
キミと一緒にいることが、僕の幸せだから。
好きだよ、政臣。
「僕も、大好きっ!」
*End*
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