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《政臣SIDE》
春野と同居し始め、早くも1週間が経った。
相変わらずケンカばかりで体力をムダに消費する毎日だけど、まあ、なんていうか、ちょっとずつ童貞ブスの生態が分かってきて、ミリ単位ではあるが少しずつ暮らしやすくなってる
……気がする。
「春野~。メシ出来たぞー」
いつものように制服のまま、朝ごはんを作るとダイニングテーブルの上に乗せていく。
「先食べてんぞー」
そしていつものようにテレビをつけ、先に食べ始める。
いつもなら食べ始めて30秒くらいで「おはよー」と部屋から出てくるのだが……。
「……まだ寝てんのかな」
5分経っても出てこない。
「おいブス!メシ出来たって言ってんだろ!モタモタしてると片付けるぞ」
逆上するようなセリフを叫んでみても音沙汰なし。
まさか死んでないよな……。
普段と少しでも違うことがあるとついついよからぬことを考えてしまう。
仕方なく立ち上がり部屋の前に行くと、取り立て屋みたいに激しくドアを叩く。
「おいコラ!さっきからムシしてんじゃねえぞブスの分際で!返事くらいしろ!」
……しーん。
「中入るかんな」
……しーん。
とことんムシしやがって……これで死んでたらマジでシャレになんねぇ。
部屋のドアを開けて中に入る。
そういえば、春野が来てからこの部屋に入るの初めてだけど……。
前がどんな部屋だったか思い出せないくらい原型を留めていないんですが、どういうことですか?
真っ白な家具に、薄いチェック柄のカーペット。部屋の真ん中には丸くて可愛い白いテーブルがちょこんと置いてある。
お姫様ですかと言いたくなるような白くて品のあるベッドフレームにふかふかの布団の上には、クマだのウサギだののぬいぐるみたちが枕元で狭そうに身を寄せ合っている。
なんだ、この部屋……。
乙女オーラまじハンパないんですけど。
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