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副会長は本当に嬉しそうに笑っているので、手を退けるに退けられなかった。普段の副会長は常に笑顔で居るのを心掛けているのか、常に微笑んでいるのを見るが、いつもの笑顔より、今の笑顔の方が好きだ。いや、そう言う意味じゃなくて。
副会長は撫でるのを止めると生徒会室にある時計を見ながらいった。
「おや、もうこんな時間ですか。そろそろ仕事は切り上げて食堂で夕食でも食べましょうか?」
「「さんせーい!!」」
「俺丁度お腹空いてたんだよねぇ~。」
俺はゾロゾロと生徒会員が出て行くのに続いた。
―――――――
「ふぅ……。」
相変わらず食堂は俺達が来るとうるさく、生徒に見られながらの食事はいつまでたっても慣れないものだ。
俺は自分の部屋に帰ると、リビングにある大きなソファにダイブした。
「あっ…、実況の続きしなきゃ…。」
ソファから起き上がると既にTVに繋がっているゲームやマイクなどの電源を入れる。
皆には秘密にしているのだが俺は、人気動画投稿サイト"ワクワク動画"にゲーム実況動画を投稿している実況者なのだ。HNは"武士"。自分で言うのもなんだが知名度はそこそこあると思う。(武が思っている以上に知名度はある)
「皆さんこんにちわ、武士です…。」
――ここかもう1人の俺の時間。………厨2っぽい。
――――――
ゲームの電源を落とす。
『結構録ったかな…。もうそろそろこのゲーム終わりそうだし次のゲームどうしよう…。』
ボッーとそんな事を考えながら今収録した実況がちゃんと録れているか見直す。よし、ちゃんと録れてる。
時計に目を向けると、もう夜中の2時だった。流石に眠い訳だ。
『そういえば、明日転校生来るんだよな…。』
――こーんな時期に転校生とかぁ、不思議だねぇ~。
フと会計の言葉が脳裏を過ぎる。確かに、この時期に転校生は不思議だ。今は新入生がぎこちなくなくだが高校生活に慣れ出した5月半ば。
『なぜこの時期に…。なにか嫌な予感がする……。』
いくら考えても俺には分からない。それに眠気も更に襲ってきた。
『寝るか…。』
大きい欠伸をひとつすると、俺はソファでそのまま寝てしまった。
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