噂の転校生を実況プレイpart1

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生徒会は学園の中でも選りすぐりの美形の集まりなので、学園の一般生徒からは一種のアイドルとして祭り上げられている。でも武はそれが凄く嫌だった。見た目が少し良いだけで、まるで別の生き物かの様に扱われるのだ。 なので食堂は正直苦手。だからと言って自炊は出来ないし…。それと今日は副会長が気に入った転校生の大海原太陽くんを見に行くのだ。 『生徒会が一気に一般生徒と接触するのは良くないんだよな…。』 何故なら生徒会や美形の人達には親衛隊というファンよりコアな集団がそれぞれいる。武にも生徒会に入っているから勿論いる。親衛隊は自分の好きな人に近付く一般生徒は容赦なく制裁という名のいじめをする。でも俺の親衛隊はそんな事しない様に頼んでいるし、親衛隊の皆も理解して俺に危害を加えない人以外には何もしないでくれている。そういう人達は穏健派と呼ばれているが、逆に副会長や双子書記の親衛隊は近付いた一般生徒は即制裁の過激派だ。だから副会長達は特に一般生徒の接触には用心してもらいたいのだが……。 「太陽!!」 『あー…、副会長…。』 副会長は嬉しそうに誰かに走り寄る。走り寄られた生徒が顔を上げる。 「あっ雅!!」 『な、なんだあの姿は…!?』 見た目は絵に描いた様なオタルック。真っ黒なもじゃもじゃ頭に、今時アンティーク店にも売ってないような大きな瓶底眼鏡をかけている。どっからどう見ても仮装か変装してる様にしか見えない。只でさえ見た目重視の学園にあの姿で来るとはとんでもない勇者だ。 「たけたけぇ、あの子色々ヤバくない?」 「(コクコク)」 耳元で囁いてきた凩に深く頷いた。するとオタクくんこと大海原がコチラに気が付きこっちに寄って来た。 「雅!!コイツら雅の友達か!?」 「え?…えぇ。」 「お前らカッコいいな!!俺大海原太陽っていうんだ!!お前らの名前は!?」 ……声デカッ!? 見た目の割に拡声器で喋ってんのかっていうぐらい声がデカい。しかも俺達の事を"お前ら"と呼ぶ。確か君は1年生だよね!? 「僕は藤谷炎!」 「僕は藤谷光!」 「…俺は凩ミチルだよぉ~。」 「……米澤、武。」 「光と炎にミチルと武だな!!」 『…呼び捨て…。』 長いもじゃもじゃの前髪で目は見えないが、口がニッコリ弧を描いているので嬉しいのだろう。…なんだか、なんて言ったらいいいのか…。 「ほぅ、コイツが久城が気に入った奴か…。こんなオタクのどこがお気に召したんだ?」
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