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―――――武side
翌朝俺は、自分の教室に入ると一斉にクラスメイトがコチラを振り返った。好奇や恋慕の視線は向けられる事はあるが、いつもとは少し違う視線に武は戸惑っていると横から声がかかった。
「武!あのうちゅ…大海原と接触したって本当なのか!?」
「勇翔…、おはよ。」
「えっ、あっ…おはよう。」
武に話し掛けてきたのは武の親衛隊隊長の影月勇翔。数少ない友人の1人だ。
「この前絶対転校生には接触するなって武に言ったよなぁ!?」
「すまん、…だけど何もされてないぞ。」
「いやもう、手遅れだよぉ…。」
ガックリうなだれている勇翔に何故そんなに落ち込むのか分からなかった。
「なんで、そんなに落ち込む…?」
「非王道転校生は1回会ったら友達認定されてしつこく絡んでくるんだよ…。」
「…それは小説の中での話だろ…?」
「うっ…、そうだけどさ…。」
勇翔は隠れ腐男子だ。大海原や生徒会やこの学園全体がそっくりそのままそういう小説の物語に重なると言う。しかもそういう似た小説はいっぱいあるのだそうだ。その小説の流れからすると大海原は非王道転校生で、これから学園を大混乱させるらしい。でも、所詮小説の中での話。そうそう簡単には同じように進むはずがない。
「けどよ、小説云々抜にしてさ、俺見た限りではアイツ苦手だわ…。」「…確かにちょっと変わった奴だったがまだちゃんとは話してないし…。」
すると突然ガシッと勇翔が両腕を掴んで言った。
「お願いだから…転校生にだけは惚れるなよ!?」
「……お、おう…。」
普段爽やかな勇翔とは思えない程のすごい剣幕に少々たじろいだが、勇翔は俺を心配してくれて言ってくれているのだろう。十分注意しよう。
――――――昼休み
「今日は売店でお昼買って中庭で食べようぜ!天気良いし。」
勇翔の爽やかな笑顔に誘われれば誰も拒む者は居ないだろう。武は当然頷くと売店へと向かった。
すると向こうから見知った人物が近寄ってきた。
「やっほ~、たけたけ、ユウくん♪」
声をかけてきたのは会計の凩ミチルだった。ちなみにユウくんとは勇翔の事だ。
「こんにちは、会計様。」「…よぉ。」
「2人共これからお昼?俺も一緒にいい?友達用事出来ちゃってさぁ。」
「…別に良いけど勇翔は?」
「武がいいならいいよ。」
「ヤッタ♪ありがと、たけたけ、ユウくん。」
「いえいえ。」
そして3人は売店でお昼を買うと中庭のベンチで食べ始めた。
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