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それから凩と色んな話をした。なんで実況を始めたか、どんな実況が好きか、他の実況者と交流があるか、など普段話せない実況の話を思う存分語り尽くした。武はフと気が付いて時計を見るともう7時を回っていた。楽しい時間が過ぎるのは本当に早いものだ。
「もう7時……。」
「ホンマや!それじゃあそろそろおいとまさせてもらいますわ、今日はいっぱい話できて嬉しかったで!」
「…俺も、…。」
凩は靴を履くと武を見てニコッ笑って言った。
「ほなまた明日!」
「…じゃあな。」
バタン
出て行く凩の背中を見送ると、深く息を吐いた。まだ少し頭が混乱していて、夢を見てるような感覚に囚われる。本当に凩が勘太郎なのか……なんで今まで気が付けなかったのか。多分勘太郎と凩のキャラが違いすぎて気付けなかったんだろう…。
『…取り敢えず、口下手を直そう…!』
そう意気込む武なのだった……――。
――――――――
転校生の大海原が来て一週間。生徒会室にはある異変が起こっていた…。
「今日も久城と藤谷兄弟は来てねぇのか!」
「そーみたいだねぇ。」
「…会長…おこぷん…。」
「おこぷん!?」
たけたけの口からおこぷんが出るとは…と驚いてる凩は余所に、武は城之内の机の所に行きプリントを渡した。
「あいつらが来なくなってから4日は経ったな。……あの馬鹿共が、俺に迷惑かけやがって…。」
「…まぁまぁ…。」
「久し振りの登場だからって、興奮しないのかいちょ~。」
「ああん?」
ギッと刺すような睨みにすぐに口を閉ざす凩。
城之内の言う通り、大海原が来てから久城達はめっきり生徒会室に来なくなった。久城と藤谷兄弟の机の上に書類が溜まっているのを見れば、仕事もしていないのも一目瞭然だ。
「会長…、副会長達に、仕事するように……放送すれば…。」
「…確かに久城達の溜まった書類の中に期限が迫ってるやつもあるしな…。凩、放送してこい。それと米澤は風紀にこの書類出してこい。」
「えぇ~!?俺が放送するのぉ!?」
「お前が1番暇そうだろ!」
「うぇ~ん俺暇じゃないもん、会長の鬼畜ぅ。」
渋々生徒会を出て行く凩の後に続こうと書類を持って出て行こうと、城之内に呼び止められた。
「…なに…?」
「……お前、転校生の事どう思ってんだ…?」
「(またか…。)別に、何も思ってない……。」
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