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「こーんな時期に転校生とかぁ、不思議だねぇ~。」
と、隣りに座っている美形チャラ男、生徒会会計の凩ミチルが書類を見ながらぼやいた。
「親の都合かなにかで、転校して来たのでしょう。」
「こんな男だらけの金持ち全寮制校にねぇ~。ご愁訴うさまで~す。」
なむなむと手を合わせている会計に、王子様の様に綺麗な容姿をした生徒会副会長、久城雅が言った。
「明日8時に転校生がきます。誰か転校生を理事長室まで送ってくれる案内人を…。」
そう言って副会長は生徒会室の中を見渡した。生徒会の中の人から案内人を出す様だ。
「俺ヤダよぉん。案内とか向いてないし~。」
「「僕達やってもいいよ!!」」
ニコニコ元気よく立ち上がった見た目そっくりの双子の生徒会書記、藤谷光、炎が名乗り出た。が、
「お前らじゃ駄目だ。何しでかすか分からん。」
それを遮ったのは、容姿端麗、頭脳明細の俺様生徒会会長の城之内英人だった。
「なんでなんで?」
「僕達なんもしないよ?」
「お前達すぐふざけた真似するだろ。」
「「うん、するよ!!」」
ニコッリ答える双子に会長は頭を抱えた。
「ならば、残るは……。」
副会長と目が合う。
『えっ、俺!?』
「ダメだよたけたけはぁ~、人見知り激しいんだから。」
そう言いながら会計が肩に手を回してきた。俺は周りのホモと違って、至って普通の男子高校生なので、必要以上にくっついて来る会計に眉を寄せる。
「は…なせ。」
「フフッ照れてるのぉ?」
「照れて…ない…。」
「可愛いたけたけ~♪」
緩い笑顔を浮かべながら頭を撫でてきた会計の手を退けようとした時、
「おいチャラ男、米澤の頭を撫でていいのは俺だけだ。」
「なにそれ~?たけたけは皆のものだよ!?」
「うっせ!」
会長が何故か割って入ってきたかと思うと、訳の分からない事を言い出した。いつから俺は皆のものになったんだ…。ちなみに米澤とは俺の事で、フルネームは米澤武。生徒会書記をしている。
「全く…、確かに米澤は無口ですし、人見知りですもんね。ここは僕が行きましょう。」
見兼ねた副会長が案内人になると言ってくれたが副会長に悪い事したな…。
「副、会長…ゴメン…。」「いいんですよ謝らなくて。」
「…ありがとう。」
副会長より少し背の高い俺の頭を、副会長が撫でた。なんでみんなして撫でてくるんだ?
「ハハッ、犬みたいで可愛いですね。」
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