序章 もっと高く

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そんな自分に浸ろうとした時、もじもじとしているこいつに気付く。 「おい」と一声かけると、体を震わせながら俯き、なにか俺に伝えようとしているのが分かった。こんなこと、前にもあったような。すると、突然「こっ、康也さん!」と勢いよく顔を上げたこいつは、なぜか俺を敬うようにその硬かった口を開けた。  クエスチョンマークで埋まった俺の頭を表情に出したらまた、俯いた。  なんだよ。  昔から俺たちは互いにどんな秘密があっても、何でも話せた。家族、友達よりも、真っ先に相談、愚痴を聞くのは俺、こいつだった。多分。
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