プロローグ

4/7
前へ
/12ページ
次へ
「で、何でそうなったんだよ」 すると「パァァ!」と笑顔が戻ったこいつは俺の手を引っ張り教室を出た。黙って俺はその手に握られていた。引っ張り倒されようやく着いた先は、誰もいない、何もない屋上。やつは俺の手を離して制服のポケットに手を入れた。 「ねえ康也。ソラって知ってる?」  するとやつは一枚の古びた紙を取り出し、いつもとは違う真剣な表情でそれを渡してきた。  それを表に返すと、所々茶色く滲んでいて綺麗には見えないが、微かに映る青。それは広大で、壮大な青。限界を感じさせない、堺なんてない、青。視界は青で染まっていた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加