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そこに広がるのは彼方まで続く黒と照明。高さはあの浮かぶ広告飛行船よりも高く、あの国際アリーナよりも広い。ただ唯一その上限に達しているのが、あれだ。天辺まで目視するこはできないが構造上到達しているだろうと思われる。俺たちを覆う壁を支えているように。
「ねえ康也、あの向こう側にはなにがあると思う?」
そんなこと、授業以外の他で初めて考えた。この環境が、この生活が当たり前。親からも、学校からも同じ教育。そしてまた俺たちは、明日を迎える。それが普通だったから。
「毎回くどくテストに出てるだろ、この外側は人間が生きてはいけないほどの放射能が降り注いでるって、いやでも覚えてるだろ」
「でも、それって本当なのかな」
おかしい。今日のこいつはやけにおかしい。まるで別人のようだった。
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