序章 もっと高く

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 1 「ねえ! 康也ってばぁ!」  そんなつい先日のこいつの異常行為を思い出しながら、また放課後の屋上で、フェンスに凭れながら殺風景な景色を眺めていた。 「お前、本当にこの前のこと覚えてないのか?」 「だからそのこと話してくれたら思い出すかも知れないって言ってるじゃん!」  そう、こいつはここで話した内容、行動、記憶。全て見覚えがないと言い張っている。記憶喪失? 記憶抹消? 単なるこいつの嫌がらせか。視点をどう変えて質問しても、こいつの反応は同じ。おかしい……いや、もういいか。忘れよう。
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