プロローグ

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 その傲慢がどのような結果を生み出すかも考えずに。 「その言葉に甘えさせてもらう!」  勇者も自らとの実力差をはっきりと感じた今、決して魔王が生み出したこのチャンスを無視せず、このチャンスを最大限生かせるように、今から行使する最後の魔法の集中力を高める。  一秒、一分、と時間が立つに連れて勇者の体が淡い光りを放ち始める。  その光りはやがて二人がいる空間を満たし、二人が戦闘を行っても決して壊れる事のなかった脊柱などを崩壊させていく。 (…これは中々)  勇者が最後に見せるであろう魔法に今まで以上の期待が集まる魔王。  この城の一部を壊せる程の魔力の密度。今まで生きてきた中でもそうそう見る事のなかった密度だ。 (この密度から放たれる魔法を真正面から受け止めてこそ…面白いと言うものだ!)  魔王もこれから放たれるであろう攻撃にそなえ、自身の闇の魔力を体に纏わせる。  部屋の中を満たしていた光を喰らうかのように魔王の体から溢れ出す闇。  やがて二つの光と闇が拮抗状態になる。
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