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「お前の力を見せてみろ。勇者」
自らの元に掛けてくる勇者を迎え入れるかのように両手を大きく広げる魔王。
「ッ!舐めた口を!」
この状況になって余裕を見せてくる魔王が癪に触ったのか、少しばかり表情を怒りに染める勇者。
だがその程度の事で動きを単調にする勇者でもない。
伊達に勇者と呼ばれるだけあって幾多もの死線をくぐり抜けてきており、その経験は見に染み付いている。
「ファントム・ビジョン!」
あと少しで勇者が魔王の元に届く、と言った所で突然勇者の姿が消えた。
勇者の実体が霧に変わるかのように姿が薄れ、そして完全に消え去ったのだ。
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