プロローグ

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 普通、目の前にいた存在が霧になるかのように消えれば誰もが驚きを隠せないような現象だが、今その現象を目のあたりにしているのは魔王だ。  魔の頂点にして、絶対の力を振るう絶対強者だ。  そんな存在が、目の前にいた人間が霧になって消えようが、驚く訳もない。 「小賢しい真似を!」  先程勇者が唱えた魔法―ファントム・ビジョン。  簡単にいえば自らの姿を隠す魔法であり、厳密には消えた訳ではない。  つまり姿を隠した勇者は瞬時に魔王の背後に回り込み、攻撃を仕掛けたと言う事だ。  だがその攻撃を当然の如く見抜いていた魔王は勇者の姿を一瞬にして捉え、後ろを振り返ると同時に、自らに降りかかっていた剣を弾き返す。
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