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(これは…使うしかないかな)
勇者は自分の中で一つの覚悟を決め、それと同時に今まで自分共に過ごしてくれた人達の顔を思い出す。
(皆…ごめん。僕は帰れそうにない)
今だに続く魔王の攻撃をどうにかして防ぎながらも、自らの高い魔力を一箇所に集中させる。
(なんだ?何かやるつもりか?…面白い)
当然勇者の身に起きた異変に気付く魔王だが、その異変に気付いた所で勇者との距離を取り、その異変を見届ける事にする。
「…何で攻撃してこない?」
「貴様が今からしようとしている事に興味が湧いたからな。見せてみろ」
傲慢。
今の魔王は正しく傲慢だろう。
だが、傲慢出来るのも勇者との実力がかけ離れているからこそ出来る事。
恐らく魔王が本来の実力を出せば勇者など既に死んでいるだろう。だが、長い年月を生きてきている魔王からしたら、今回の戦闘は暇潰しにすぎない。故に何か面白いものを見せてくれないかと期待してしまう。故に魔王に生まれてはいけない傲慢が生まれてしまう。
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