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学校外れの廃工場
広く空虚な場所で天井の壊れたところから光が少し入ってくる
人の気配が一つ、日向先生のいった通り狭間 剣童が待っていた
「よかった、来てくれて」
朝の時の様にニコッと笑った
「…そのわざとらしい愛想笑いはよせ。俺は今お前に興味がある、もう気を向けさせる必要はないぜ」
「…フッ。それくらいはお見通しか。ならこれからやりたいことを言おう」
少し声のトーンが下がり知的な話し方に変わった
「やりたいことだと?」
「ああ、君は…俺と戦ってもらう!」
言い終わる前にはもう既に走り出していた
「いきなり何を言うかと思えば…」
薫は右足を後ろに引き拳を構えた
「そういえば空手をやっていたんだったね。…だが!」
そう言って狭間は左手を広げた
途端に左手に木刀が現れた、そして大きく振りかぶった
「っな…!?」
薫は当然驚き一瞬こわばったが考えるより先に行動、サイドステップを踏みかわした
「おお、瞬時の判断力流石は空手家。普通ならパニクって食らってるね」
「どういうトリックだ!」
「トリックじゃあない。別に敵対心がある訳じゃないから俺の『能力』を教えてやろう。それとなぜ戦うのかもね」
そう言って近くにあった石を拾った
「俺はこうやって一度触れた物を…」
次はそれを空中に放り投げたかと思うと、いつの間にか消えていた。そして
「薫くん、ポケットを探ってみな」
…まさか、とは思ったがそのまさかだった
ポケットの中には石が入っていたのだ
「物体転移…マタートランシジョンと呼んでる。そして君と戦う理由は…」
「俺にもその『能力』とやらがあるか試す為…だろ?」
薫は狭間の言う言葉を予想して言った
フッ、と笑う狭間の様子からどうやら当たりらしい
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