第一話 霊波[れいは]

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学校外れの廃工場 広く空虚な場所で天井の壊れたところから光が少し入ってくる 人の気配が一つ、日向先生のいった通り狭間 剣童が待っていた 「よかった、来てくれて」 朝の時の様にニコッと笑った 「…そのわざとらしい愛想笑いはよせ。俺は今お前に興味がある、もう気を向けさせる必要はないぜ」 「…フッ。それくらいはお見通しか。ならこれからやりたいことを言おう」 少し声のトーンが下がり知的な話し方に変わった 「やりたいことだと?」 「ああ、君は…俺と戦ってもらう!」 言い終わる前にはもう既に走り出していた 「いきなり何を言うかと思えば…」 薫は右足を後ろに引き拳を構えた 「そういえば空手をやっていたんだったね。…だが!」 そう言って狭間は左手を広げた 途端に左手に木刀が現れた、そして大きく振りかぶった 「っな…!?」 薫は当然驚き一瞬こわばったが考えるより先に行動、サイドステップを踏みかわした 「おお、瞬時の判断力流石は空手家。普通ならパニクって食らってるね」 「どういうトリックだ!」 「トリックじゃあない。別に敵対心がある訳じゃないから俺の『能力』を教えてやろう。それとなぜ戦うのかもね」 そう言って近くにあった石を拾った 「俺はこうやって一度触れた物を…」 次はそれを空中に放り投げたかと思うと、いつの間にか消えていた。そして 「薫くん、ポケットを探ってみな」 …まさか、とは思ったがそのまさかだった ポケットの中には石が入っていたのだ 「物体転移…マタートランシジョンと呼んでる。そして君と戦う理由は…」 「俺にもその『能力』とやらがあるか試す為…だろ?」 薫は狭間の言う言葉を予想して言った フッ、と笑う狭間の様子からどうやら当たりらしい
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