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察するに私は、出来の悪い娘だったに違いない。母にとっては初めての子育てで、不安やストレスもあったであろう。他人の娘と比べたら、随分引け目に感じたのではないかと、今ならば考えてやれるが、それを仕方ないことだったとは思えない。
母は誰かと私を比べることが多かった。母が○○ちゃんはね、□□ちゃんのところは、と比べれば比べるほど、私はどんどん自信を無くしていった。
「私なんかいなくなればいいんだ!お母さんは○○ちゃんの方がいいんでしょ!!私なんか死んじゃえばいいんだ!」
ある日、泣きわめいて母を責めたことがある。そのきっかけは思い出せないが、祖母(母の母)がその場所にいたので、祖母に母がお決まりの比べっこをしたのかもしれない。私は6歳か7歳の頃だっただろうか。正常に、豊かに育った子供なら「私は死んだ方がいい」とは思わないはずだ。私がどれほどの精神状態だったかは計り知れない。
「こら、そんなこと言わないの!」
母はそう言って叱った。
「私は○○ちゃんみたいに可愛くないし、私は駄目な子なんでしょ!いなくなった方がいいの!」
私はぬいぐるみやら、ティッシュの箱やらを投げ付けては泣いていた。母から謝罪の言葉はなく、泣き疲れて眠ってしまった。
ただ一言、「ごめんね、あなたはあなただよ」と抱きしめてほしかっただけなのだ。私にはそれが何よりの優しさだった。
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