第二章

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山田一郎は基本的に女性とは話さない。   それは剣というバックに目が眩んだ女性にしか興味を持たれず、彼と同じように自分もあしらって来たから。   美空杏里や水戸珠理に会うまでは、わりと青春とはかけ離れた生活を送って来たのだ。   『学校内』では……だが……。   「ねぇねぇ一郎ちゃん!明日は桃子(ももこ)と遊ぼうよ!」   「いや、僕学校あるし姉ちゃんも大学でしょうに……」   「一郎ちゃんと遊ぶ方が大事だもん!」   「……そろそろ弟離れさせないとなぁ……あといつも通り柔らけぇ……」   良い子ならお休みタイムとなる時間帯。   パジャマ姿で明日の準備をしていた一郎の上半身にズシリと何かがのしかかり、背中にとんでもなく柔らかい2つの何かが押し付けられる。   一郎は少し困った笑いを浮かべながら首から上を横へ回すと、一郎と色違いのパジャマに身を包んだ1人の女性が視界に映った。   山田桃子(やまだ ももこ)。   一郎の5つ上の姉であり、同じ血が流れているのか今でも疑問に思うほどの整った顔立ちをしている。   もうすぐ一郎に届きそうな女性にしては高い身長と、モデルが素足で逃げ出す抜群過ぎるプロポーション。   バストは数ヶ月前にEに突入したとの報告を受け、大学では彼女を狙う男性が後を絶たないらしい。   風呂上がりで湿った亜麻色の髪をセミロングに整え、窮屈なのかパジャマの第一第二ボタンを開けて谷間が危ういことになっている。   小さな頃から一緒にいるからこそ彼女のスキンシップを難なく受け入れられるわけだが、珠理や杏里に平然を装えたのは桃子から鍛えてもらったからでもあるだろう。   「やだやだ!桃子はずっと一郎ちゃんLOVEだもん!」   「まだ若いからその口調でも違和感がないけど、20歳を迎える頃には治そうね」   言うまでもないが、かなりのブラコンであり5歳上にも関わらず妹気質満載な性格だ。
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