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「これからどちらに?」
「夕食の買い物に」
「そういえば、もうそんな時間でしたね。…これからは大変でしょう、紫の食事は」
「長い付き合いで、慣れたものだ。それに、今となっては山野を駆け回る必要もないからな」
冬になれば、私の主は長い冬眠に入る。
熊と同じように、しっかりと栄養をつけてもらう必要がある。…今となっては、そのようなことをする必要はあまりないのだが。
そうして、他愛ない会話を数回交わした後、私は再び人里へ向かおうとしたその時だった。
「「…!?」」
空気が歪む異様な感覚。
いや、違う。これは…四次元レベルでの…!
「まさか、今度はあなた方が何かしようとしているのかしら?」
「いや、今のは我々ではない!紫様のスキマではない、それに、私の…!」
天狗は恐ろしく頭が切れる。
下手な弁明は墓穴を掘るだけ。
それ故に次の発言を慎重に取捨選択使用としている間に、私と射命丸の間にスキマが開いた。
「ボンジュール、お二人様」
「っ、紫様!」
「噂をすれば何とやらね。説明してもらおうかしら」
「そうね。あなたに教えてあげられるのは、今の結界とその内部に位置する幻想郷への何らかの干渉について、私たちは何も感知していないということだけね」
「………まあそうよね。ごめんなさいね、変に勘ぐったりして」
紫様の発言を熟考した射命丸だったが、どうやら誤解は解けたようだ。
ほっと胸を撫で下ろしていると、とたんに彼女は真剣な表情になる。
「博麗大結界の内側へ影響を及ぼすことができるのは生半可なことじゃない。おそらく…」
「あら、協力してくれるのかしら?」
「記事にさせていただけるなら♪」
「まあ良いでしょう。…驚くべきことに、さっきのは結界の外側からよ。そして、徐々に内部へと浸潤してきているわ」
「…以前、神社が倒壊してしまった影響で末端の結界が弱くなって…?」
「それを含めて、藍と一緒に調べてきてくれないかしら。…あなた達なら、スキマも必要ないでしょう」
「承知しました。では…」
「紫。私の記憶をいじったりしたら承知しないわよ」
「フフ。どうなるかは結果次第ね」
彼女が自発的に協力…なるほど、依然としてネタ切れは続いているのか。
…紫様、彼女に新聞を書かせるつもりなんて微塵もないですね。南無。
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