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「前言撤回を求めますね」
「…これは難儀なことになった…」
「仮に、現状のまま結界を再構築したとしたら?」
「文字通り神隠しだ。博麗の巫女や紫様でなければ外に帰してやることはできない。かと言って、結界は直ちに修復しなければ…」
「最近の人間、いわゆる現代人ってやつは妖怪とかそういうのに対して存在を信じないから、私が天狗だって名乗っても逃げるとは思えませんし…とりあえず、とっとと涼しい幻想郷に帰りたいから修復してしまいましょう」
「そうだな。紫様に報告しておけば対処してくださるだろう」
結界が弱体化しているうちに、人間がこの地に足を踏み入れるというような事態は想定外だったのだろう。
小さくため息をつくも、ひたすらに作業を続けている。
…改めて、伊達に八雲紫の式を名乗っているわけではないわね。
結界とか、そういうのは専門外だからよく知らない。
幻想郷の住人として、少しは理解しておいたほうがいいのかもしれないわね。
「…っ、藍」
「この祠は外からは視認しづらい。とりあえずは身を潜めていてくれ」
来た。人間。
最近の人間は、発展した科学技術を用いてこの惑星を我が物顔でのし歩くまでになった。
自らの種族は全知全能だとでも錯覚しているかのように環境を破壊し、そこに生きる生命を根こそぎ奪い去るまでに堕ちた。
とはいえ、私もその発展した文明の恩恵をわずかながらに受けている。
シャープペンシルとか、消しゴムとか…便利すぎるのよ、もう。
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