憎しみの果て

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   ◇   ◆   ◇ 「だーれだっ!」   自分より背の高い男の目を後ろから隠し、満面の笑みでそんなことを言う少女。 頭の上の方で結った茶色く長すぎる髪を遊ばせ、とても楽しそうに女子高生は男子高生の目を隠す。 けれど目隠しをされた深い紺の髪をした男子高生は、唇をへの字にし、時折少女の手から覗く赤い瞳はとてもつまらなさそうな輝きを放つ。 「えへへ~」 「………」   楽しそうな少女。つまらなそうに唇を引き結んだ少年。 「………」 「えへ……」   何も答えぬ少年に、少女は眉をぴくりと動かす。 「だーれだぁ」   再度尋ねると、やっとへの字に引き結ばれた唇が動いた。 それを感じとり、少女はぱっと嬉しそうな顔をする。
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