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「可愛い姫…。そなたを奪った私を、桔梗は怒るか?」
困ったような声を出すが、顔は平然としている。
平然とした顔で姫を茵(しとね)に横にし、そっと単衣を脱がせていく。
茵の上、姫は当主の腕の中、朱色の瞳に怒りの焔を灯した。
(糶雅様……あなた様は、本当に変わってしまわれたのですね。私が、あの娘であっても、あなた様は命をお掛けになられますの? ――いいえ。もう、萩はあなた様を忘れましょう。
愛しい兄様と姉様を奪った、あなたを憎みます。
藤と、その吸血鬼…いつか、殺してやる……
那岐…!!)
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