憎しみの果て

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彼らの姿に、姫は顔を赤くし当主の身体で自分を隠そうとする。 「照れておられる、萩の姫は本当に可愛らしい。当主の女というのが妬ましい」   くすくすと笑う男を、女は睨む。 「女郎花(おみなえし)、撫子(なでしこ)…。おまえ達が復讐をするというのか」 「ほんの挨拶にございます。痛めつけ、最後は藤様に手をお下しいただかねば。我らが姫に深い傷を与えたあの男、存分に痛めつけねば気が済みますまい」 「挨拶か…。よかろう。行ってまいれ。存分に可愛がっておやり」   くくく、と笑う当主に、二人は嬉しげに口元を吊り上げる。   頭を下げこの場を去ろうとする。 「お待ちくださいまし、女郎花様、撫子様」   けれど姫に呼び止められ、二人は驚き振り返る。 「痛めつけるのは糶雅様……那岐だけではございませぬ。憎き討伐師…藤此花も、例外ではございませぬ。あの者が、葛音姉様を苦しめ、殺したのですから……っ!!」   目頭を赤くし、泣きそうな声を出す姫を、当主が抱きしめる。
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