憎しみの果て

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「我が名と同じ姓の討伐師……。古より忌々しいと思っていたが、ついにその息の根を止める時が来たようだ。討伐師の女当主にも、挨拶をしてくるが良い。丁重に、丁寧に、存分にな」 「「御意」」   命令を聞き、二人は頭を下げるとその場から姿を消した。 「萩よ。おまえの傷は私が抱えよう。そして、この傷は奴らに倍以上にして返してやらねばならぬな」 「はい…っ。ですが、兄上様。どうか、藤此花、那岐のどちらかは私に息の根を止めさせてくださいまし。迷いはいたしませぬ。萩は、藤此花と那岐を殺すと、誓いました」 「……おまえは、あの男を好いていたと言う。それを、まこと殺せるか」 「想いはもうございませぬ。私はあなた様と共に生きて行くと決めました。七草の姫として、七草の当主様と、華を生きる所存にございます」   顔を上げ、見上げてくる姫に、当主はそっと彼女の頬を撫でる。 「よくぞ言ってくれた。先日まで幼かったおまえは、今、とても魅力的だ。七草の姫として、よう育ってくれた。美しくも妖艶な華の姫よ」   甘く囁き、当主は姫の唇を奪い、彼女をまた茵に寝かせた。
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