放蕩姫

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「小さいなぁー」  しみじみと。  ロングブーツを取ったらどれくらいになるんだろう。 「叩き切る! この空気を読めない男を叩き切るのじゃ!!」  涙目になる幼女。  構えを取って、抜くぞ? いいのか? 抜いちゃうぞ? 状態になった。 「やはり幼女はロザリーに限る」  僕の中で勝敗が決定した瞬間である。  純粋に愛でるという分野に特化しているからね。  穢れを含む愛でるにはまだ早い。 「レベッカ姉様!!」  ティアナと一緒に来たウルが驚きの声を上げる。  姉様? 金髪蒼眼、姉様? 「ねぇ、ほんと? ブーツ取ったら一番下のクリスと同じくらいの身長なんじゃない?」 「言ってやるなや、アレでも長女やねん。ロングブーツも特注で誤魔化してん」  姉妹の再会を邪魔しないようにティアナの近くに行って聞くと予想通りの答えが。 「全部聞こえてるのじゃ! クリスとは同じくらいの身長だから大丈夫じゃ!」  思いっきりウルに抱き締められてマスコット扱いになってるんだけど。 「でもクリスの方が大きいんじゃない? 女の子はあの歳が一番背も伸びるし、クリスの方が少し大きいような」 「なっなんじゃと!? 背が伸びたじゃと!? こうしてはおれん!!」  疾風のように走り去っていくレベッカ姫。  長女が一番身長低いね、絶対。 「イシリア姫とうちの姫さんの時と同じように泣くんちゃうかな?」  そこまで気にしていたのね。身長。  訓練服を身に纏うティアナは頬を掻いて苦笑い。  ウルはまだ抱き足りなかったのか寂しそうにしている。 「まぁいいや。僕執務室行くから」  シャツの上から軽くローブを羽織るだけ。  それが城での僕のスタイル。寒くなってきたらもうちょっと着込むかな。
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