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葉 放課後の図書室。窓から射す夕日が眩しい。 「アンタまた授業サボったろ」 そんな中、カウンターに座る三年に小声で話しかける。 「……気づいたら」 「放課後だったってか。」 呆れて溜め息が出る。この学校寮なのによく平気だったな。ご両親が心配なのもよくわかる。 「オレ、アンタの両親に頼まれちゃってんすけど。もちっとしっかりして下さい。」 オレが怒られるだろ。 オレの親とこの人、京一さんの両親は古い付き合いらしく、オレらも互いに面識はある。 とはいえ特別親しくもない程度の仲だし、学年が違うのに面倒見るように頼まれたって、あんま出来ることないけどな。 「…まあ、善処する」 そう言うと手元の本に目を落とした京一さんにもう一つ溜め息を吐いてから離れ、本棚を見て回る。 読みたいものがある訳じゃないけど、図書室の雰囲気や独特な匂いが結構好きだし直ぐに帰る気にはならなかったから。 結局何の本も持たないまま椅子に座り、頬杖をついて夕日に輝く窓の向こうを呆と眺める。 活気に満ちた運動部の掛け声に、どこかの教室から聞こえる吹奏楽や軽音の奏でる音色。 銘々の部活動に打ち込む音は聞いてて心地が良い。 嫌な父親のいないここは同室の奴も良い奴だし、クラスの奴等とも上手くやっていけそうだ。 高校生活の出だしは順調。 何か物足りないとか思うのは罰当たりだろう。 でも、なんか。 もうちょい何かあってほしいというか…。 オレも部活でもしようかなあ。
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