出“逢”い

4/17

2895人が本棚に入れています
本棚に追加
/843ページ
日が暮れると、立ち上がる。 何をしに来ているのか、わからない。 綺麗な金髪と、腕に見え隠れする刺青。 静かに煙草を吸っていた、“ガイ”。 その、彼の座っていた辺りは薄暗く、吹き込む雨に濡れて、今は。 誰もいない。 散らばる吸殻は風に飛ばされ、溝を流れる雨水に、元の姿を失っている。 空が一瞬、光った気がした。 ……雷…? どこかでその音が聞こえた気がして、少女は傘からおずおずと空を、見上げる。 激しい雨と。 強い風。 もしかしたら、雷。 ざわり、と少女の肌が粟立った。  
/843ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2895人が本棚に入れています
本棚に追加