フラッシュバック

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「昌也くん、俺の部屋使っていいよ」 見られて困るもんないし、俺、雅ちゃんと、ここで寝るから。 そう言った鷹野の抱き抱えるものは、最早。 手首の内側までも紅潮した雅。 「落ちたか」 「うん、寝た。呑み付けない子にあんな飲ませ方したらそりゃ落ちるって」 非難したい訳でもなさそうな鷹野は、それでも心配なのか、脈を診たりしている。 「あのさあ…」 雅を覗き込んだ昌也は、どちらにともなく、話し掛けた。 「この子は…赤い髪の奴に、何されたわけ?」 自分を見て急に怯えた。 髪の色に。 大声で泣き叫ぶ訳でもなく、息を詰まらせ、ただ、全てを拒絶した。 「…まあ、ちょっと今日はタイミングが、ね」 「…こいつ殺した奴が、赤い髪してたんだろ」 睫毛を伏せて言葉を濁した鷹野に対し、これ以上は聞いてくれるな、とばかりにキッパリ言い切る凱司の苦々しい目に。 昌也も思わず、口をつぐんだ。  
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