出“逢”い

6/17

2895人が本棚に入れています
本棚に追加
/843ページ
耳を塞いで。 閃光が目に入らないように、膝の間に顔を伏せる。 制服の表面からも、首筋からも、容赦なく雨は。 体を濡らして、震わせた。 突然。 左腕を何かに掴まれて。 強く、引かれた。 少女は、びくりと体を震わせて視線を上げた、そこ、に。 …薄墨色の蛇、が。 その綺麗に描かれた無機質な目で、少女を真っ直ぐに見つめ、その肘を、掴んでいた。 「………っ」 「早くしろっ!!」 声に、聞き覚えはなかった。 が、引きずるように少女を立たせた、その蛇の持ち主は。 高価そうな金髪を、大粒の雨に濡らす、“ガイ”。 スクリーンの中から、突然出て来てしまった、“ガイ”。  
/843ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2895人が本棚に入れています
本棚に追加