“先輩”

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どうも独りぼっちな気がすると思ったら、そういう事か、と。 雅は、軽く唇を噛んで、再び水槽に目を移した。 帰りたい、と思うと同時に、苦笑いが浮かんだ。 何のために急いで来たのか。 こんな、わざと遠巻きに。 放置されたような状態で、告白されるかもね、等と言われて。 待たなきゃならないのか、と。 ゆっくりとガラス伝いに移動しながら、そんな事がないまま今日が終わればいいのに、と小さく息を、吐いた。 「……雅!」 照明の落とされた、深海魚の所まで来たときに。 小さなケースを覗き込んでいた雅は、振り向いた。 ほどほどに人の居るなか、やはり独りで居る柳井が、思い詰めた顔で、手招きしていた。 ……あぁ…嫌 もう、…帰りたい。 「俺が…雅を好きなのは、知ってるよね?」 知らない。 そんなこと、一度も言わなかった。 「誰か…他に好きな人でも?」 もう、やめて。 「あたしじゃ…ない人にしてくれませんか…?」 そんな、流行りみたいなタイミング。 みんなが付き合い出したから乗り遅れないように、みたいなタイミング。 「どうして、あたしなんですか…?」 近場の女の子なら、いっぱいいるじゃない? ごめんなさい、あたし… 駄目なんです。  
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